2011年02月05日 エレベータ
_ エレベータ利用をめぐるシステム
些細な話題だが、ちょっと おもしろいと思っている事柄。
勤務先に着くとエレベータに乗って地下1階から15階まで上る。11階〜19階にいくためのエレベータが6機ある。2×3の形で列んでいる。
通路を通ってエレベータのところにいくと、左側に手前から奥に向かって3機あり、また、右側にも同じように手前から奥に向かって3機ある。合計6機。
このとき、人々がどう列ぶかというと、奥の方には進まず手前のところに留まる。なぜなら、手前にいる方がエレベータ全体を見通すことができ、先にきた機に乗る選択権を確保できるからだ。合理的な判断。
さて、6機の中に音声案内機能の付いたものが1機だけある。それは右側の最も奥のもの。私がめざすのは、その奥にある機。選択権は6分の1。
しかし、人々が渋滞状態で列んでいるため奥に進むのは容易ではない。「すみません」と声をかけて無理矢理 隙間をあけてもらえば通れなくはないが、そこまでするかどうか。
「選択権をなるべく多くしておきたい」という自然な欲求、それと、障害者がハンディを軽減しようとすることとが不幸にしてバッティングしてしまう例。
ある種、社会にみられるいろんな障害者問題の縮図になっているような気がして興味深い。
例えば、視覚障害者の伝統的職業とされる鍼灸マッサージをめぐる職業選択の自由の問題。
障害者か健常者かを問わず職業選択を制限すべきでないとする考え方、障害者の実質的ハンディに着目して健常者の選択権をある程度制限するのはやむなしとする考え方、障害者の選択の幅を拡げることに重きを置く考え方、他にもいろいろある。
エレベータの問題に戻ると、時間がかかっても渋滞列に列んで音声機能が付いたものに到達すればいいだけだとする考え方、列をぬける優先権をもらって奥にいくようにするという考え方、費用がかかっても6機総てに音声機能を装備して障害者のハンディをなくせばいいという考え方、細かくみれば他にもいろいろ対応策は考えられる。
話は逸れるが、音声機能付きのエレベータを1機装備して「障害者対応」とするのは、プロの発想ではないと感じる。
どんな分野であれ、バックアップが大切であるのは自明。「少なくとも2機は必要だろう」と推測するのがプロでは?でも、そんなふうに考えるのは一方的で酷な見方だろうか。
それはともかく、このエレベータ問題、些細で単純ではあるが、なかなかおもしろい。
人の流れ方を考慮に入れた設計がどうあるべきかという視点でもおもしろそう。